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夢工房なかがわ”から“ゆめこうぼう”になった経緯(AからB、中川から中村)

2008年、「適切な労働と賃金保障」というスローガンのもと中川区で立ち上がったNPO法人夢工房(立ち上げ当初は特定非営利活動法人いまを見つめこれからを考える会シナリオ)は、当時中川区で初めてのA型事業所を開所しました。当時A型はまだ数も少なく遠方からの利用者も多く受け入れており、また能力、特徴も今のいわゆるA型の利用者ということとは違ってさまざまな方たちが通所してくださっていました。利用者の皆さんに従事していただく作業として木工を選択し、障がいがあっても道具をはじめとしたさまざまな工夫により働くことを可能にし最低賃金を保障していくことを目指していました。

しかし内部での様々な問題、また市場で耐えられるような木工商品を利用者の皆さんと作り上げ売り歩き、皆さんに最低賃金をお渡しするだけの収益を上げることは大変困難でした。国からの給付金を利用者の賃金として流用しないようにするという流れを感じ始めた2015年、木工収益で皆さんの最低賃金を保障することは不可能との判断をしB型事業所へ移行しました。

色々なことを見直し立て直して再出発しようとしたB型事業所。立ち上げ時はどんな場合でもそうなのでしょうが、職員全員が文字通り身を粉にして尽力し、その結果木工の売り上げも年々上がり、利用者の人数も増えていきました。しかしそれは背景で職員が時間、賃金、労力、何かしらを犠牲にして従事していた結果でもあり、当然それは長く続けることができることではありませんでした。2018年、商品開発、販売先の開拓等も限界を感じ始めた時、木工製造を下支えしてきた要の木工担当職員らの高齢化による健康への不安が現実的なこととなりました。また同時に事業所の建物が老朽化し高額な費用をかけて修繕しなくてはならなくなり、昭和50年以前に建てられた耐震性が十分ではないこの建物を修繕するよりは引越をした方がよいという状況にもなりました。

製造がこれまでのようにできなくなること、収益を上げていくことどころか維持することすら難しくなること、引っ越しをする必要があること。これらの大きな問題をかかえ、どう解決していくか頭を悩ませているときに、自社製品の作業を優先的にする就労継続支援事業所を立ち上げることを検討していた松ケ下徳大氏とご縁がありお話をする機会に恵まれました。双方が持っていないものを互いに補いあえるかもしれない、と夢工房の職員、利用者、やり方をそのまま松ケ下氏が新しく立ち上げる事業所に移行させることを検討し始めました。どのような形で移行するのか、NPO法人は残すのか解散するのか、その場合運営組織はどのようにするのか等、理事会、松ケ下氏、またオブザーバーとして外部組織の有識者にも話し合いに参加していただき1年をかけて検討しました。その結果、最終的には職員、利用者、やり方を夢工房なかがわの時そのまま引き継ぎ松ケ下氏が新しく立ち上げた株式会社ひつじいろが運営するB型事業所に移行し、木工事業は廃止、場所を中村区に移すこととなりました。

このような経緯で2019年3月末NPO法人夢工房の運営するB型事業所夢工房なかがわは閉所し、4月に株式会社ひつじいろが運営するB型事業所ゆめこうぼう(表記をひらがなにして名前もそのまま引き継ぎました。)が中村区で開所することとなりました。(なおNPO法人夢工房は一旦は解散を決めましたが、最終的には広く障害者家族の支援活動をする法人として残すことを決め活動を継続しています。)

NPO法人だった事業所が株式会社に移行ということで、違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。しかしNPOでも株式でも目指す方向は同じ。経営に弱い福祉分野が企業とタッグを組み、困難を抱えながらこの社会で生活している人たちの生活や心が少しでも豊かになるよう、そこを何よりも大切な目的としてすすんでいく。企業と福祉が一体となる。そんな先例になれるよう、今後も日々努力して邁進していきたいと思っています。 


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